その場所は、富士急行線の河口湖駅から車で20分ほど。観光客の姿もややまばらになった、河口湖の北岸にあります。到着したのは「星のや富士」。国内外に33もの宿泊施設を運営する星野リゾートが手がける、「グランピング」=優雅なアウトドアライフをコンセプトにしたリゾート施設です。
最初に到着する「レセプション」は、ガラス張りの小さな建物。ここでマイカーやタクシーを降りて屋内に入ると、すぐに非日常の時間が始まります。まずは、壁一面に掛けられたリュックサックから好きな色やデザインを選び、貸し出されます。中にはバードウォッチングや星空観察に役立つ双眼鏡やヘッドライト、水筒など、アウトドアには欠かせないアイテム一式が入っていて、これから始まる体験への期待感が高まります。
スタッフに促されるまま赤や黒のジープの後部座席に乗りこみ、広大な敷地内へ。急勾配の坂をゆっくりと登るSUV車の細かな振動にワクワクしながら進みます。普通車どうしがやっとすれ違えるほどの細い山道を5分ほど行くと、「キャビン」と呼ばれる客室群が見えてきます。車から降りるころには、すでに日常の煩わしさを忘れ、これから始まる非日常の体験に胸を踊らせていることでしょう。
森に包まれた「グランピング」体験で、
慌ただしい日常の時間から離れて自然に溶けこむ
星のや富士
取材/村瀬健介撮影/橋本伊礼(ストーブ、料理以外)
日本一の風景を堪能しながら、優雅なアウトドアライフを体験する――想像しただけでぞくぞくしませんか?
森の中で暮らすことの楽しさ、これまで経験したことのない解放感とリラックスを味わえる、秘密の場所へご案内しましょう
レセプションから先は
圧倒的な非日常の世界
「グランピング」ならではの
風を感じられる客室
めざしたのは「日本初のグランピングリゾート」。そもそも「グランピング」とは、「グラマラス」と「キャンピング」を合わせた造語。アウトドアライフ大好きな欧米の人々が、自然の中での滞在にも一流ホテル並みの快適さを求めたことに由来し発達してきた、新しいリゾートスタイルのことです。言いかえれば、老若男女、誰もがムリなく体験できる、野外生活の超入門編、アウトドアライフへの「はじめの一歩」といったところでしょうか。
そのため、客室はコンパクトだけれど、普段の生活に欠かせない必要最低限のものが揃った清潔感あふれる快適空間。大きなバスタブにふかふかのベッド、もちろん冷暖房もあります。
もっとも特徴的なのは、ゆったりとしたテラス。客室の一部ではあっても、できるだけ野外を感じられる場所で過ごしてほしいという「星のや富士」の思いが表れています。脚を伸ばせるソファが心地よくて、記者も思わず声をあげてしまったほど。ここでついウトウトしてしまうゲストも多いそう。冬にはこたつが設置されるほか、夜には、ファイアープレイスに炎が灯る幻想的な演出も。肌に風を感じながら炎の揺らめきを見つめる、静かな時間を過ごせます。
そのため、客室はコンパクトだけれど、普段の生活に欠かせない必要最低限のものが揃った清潔感あふれる快適空間。大きなバスタブにふかふかのベッド、もちろん冷暖房もあります。
もっとも特徴的なのは、ゆったりとしたテラス。客室の一部ではあっても、できるだけ野外を感じられる場所で過ごしてほしいという「星のや富士」の思いが表れています。脚を伸ばせるソファが心地よくて、記者も思わず声をあげてしまったほど。ここでついウトウトしてしまうゲストも多いそう。冬にはこたつが設置されるほか、夜には、ファイアープレイスに炎が灯る幻想的な演出も。肌に風を感じながら炎の揺らめきを見つめる、静かな時間を過ごせます。
燃えさかる焚き火に
心身が癒やされる
「火」があるところに人が集まるのは、きっと”本能”とでもいうべきものなのでしょう。客室を出て階段を上がっていき、緑がますます深くなっていくところ。すこし息も切れてきたころに到着するのが、「クラウドテラス」です。ここは山の斜面に沿ってウッドデッキを配置した高低差のある空間で、その最上部には、大きな「焚き火台」が据えられています。
ここでもいつの間にかゲストが集まってマシュマロを焼いて楽しんだり、ただただ炎に見入ったりと、思い思いの時間を過ごします。なかには知り合ったばかりのゲストどうし、会話を楽しんでいる人たちも。とくに屋外で焚かれる火には、人々をリラックスさせ、心を解きほぐしてくれる効能があるのかもしれません。木々の隙間から見える太陽が徐々に傾き、炎の色が濃くなっていくにつれ、日常の疲れが芯から癒えていくのがわかります。
ここでもいつの間にかゲストが集まってマシュマロを焼いて楽しんだり、ただただ炎に見入ったりと、思い思いの時間を過ごします。なかには知り合ったばかりのゲストどうし、会話を楽しんでいる人たちも。とくに屋外で焚かれる火には、人々をリラックスさせ、心を解きほぐしてくれる効能があるのかもしれません。木々の隙間から見える太陽が徐々に傾き、炎の色が濃くなっていくにつれ、日常の疲れが芯から癒えていくのがわかります。
森のあちこちに見つけられる
極上のリラックススポット
「クラウドテラス」には焚き火以外にも仕掛けがいっぱいあります。エリアのあちこちに配置されたソファスペースや、木立を見上げるベンチ、樹間のハンモックなど、きっとお気に入りの、居ごこちのいい場所が見つかります。
さらに「ライブラリーカフェ」と呼ばれる小さな建物には、自由に手にとれるアウトドア関連本や飲み物なども用意されています。薪ストーブを囲むチェアもあり、雨の日や肌寒い日でも快適に過ごすことが可能。
じつは、「星のや富士」の敷地は全部で約6ヘクタールもあるそう。その大半が森に覆われています。これから長い年月をかけて、これらの森とどのように共生していくのか、さまざまなプランを模索中だといいます。今後の展開から目が離せません。
さらに「ライブラリーカフェ」と呼ばれる小さな建物には、自由に手にとれるアウトドア関連本や飲み物なども用意されています。薪ストーブを囲むチェアもあり、雨の日や肌寒い日でも快適に過ごすことが可能。
じつは、「星のや富士」の敷地は全部で約6ヘクタールもあるそう。その大半が森に覆われています。これから長い年月をかけて、これらの森とどのように共生していくのか、さまざまなプランを模索中だといいます。今後の展開から目が離せません。
グランピング体験をご紹介
雨の森を手ぶらで散歩できる幸せ
「星のや富士」でのグランピング体験は、客室ドアのすぐ外からが本番。敷地はここからさらに、山肌に沿って階段を登ったところへと続いていきます。レセプションで受け取ったリュックサックを背負えば、ますます気分も盛り上がるばかりか両手も自由。そう、雨降りの日だって、その雨を楽しもうという気にもさせてくれます。せっかくのグランピングなのに雨だったら台無しと思われがちですが、そういう日ならではの、特別な楽しみ方ができるのです。
備え付けの傘もあるのですが、ここはできれば手ぶらで歩きたいところ。そんなときは、雨の多い時季限定で部屋に備え付けのおしゃれなポンチョを身にまとい、玄関外に掛けられた長靴を履きましょう。冬には、防寒用のダウンコートも用意されるそうです。万全の準備を整えて森の中へと続いていく階段を登っていけば、すこしずつ自然の中へ溶け込んでいく気分を味わえるのでは?
備え付けの傘もあるのですが、ここはできれば手ぶらで歩きたいところ。そんなときは、雨の多い時季限定で部屋に備え付けのおしゃれなポンチョを身にまとい、玄関外に掛けられた長靴を履きましょう。冬には、防寒用のダウンコートも用意されるそうです。万全の準備を整えて森の中へと続いていく階段を登っていけば、すこしずつ自然の中へ溶け込んでいく気分を味わえるのでは?
アウトドアの定番、薪割り体験デビュー!
田舎に住んでいても、そうそう体験できないことのひとつが薪割り。ここでは、いくつも用意されたアクティビティに参加して、自然の中で体を動かすこともできるのですが、中でも人気なのが、「薪割り体験」です。「グランピングマスター」と呼ばれるスタッフがていねいに指導してくれるので、はじめての人でも安心してトライできます。さらに力の弱い女性や子どもたちには、特別な器具を使った安全な薪割り体験も。森の中にこだまするパコーンという音を聞くだけでも、スッキリした気分になるのでは。
ほかにも、河口湖でのカヌー体験、富士山麓のマウンテンバイク、樹海への散策ツアーなど四季おりおりのプログラムがあります。
ほかにも、河口湖でのカヌー体験、富士山麓のマウンテンバイク、樹海への散策ツアーなど四季おりおりのプログラムがあります。
燻製づくりを心置きなく楽しむ
人気のアクティビティの中からもうひとつ、「山麓の燻製(くんせい)づくり」をご紹介します。こちらもアウトドアでの定番ですが、自宅で挑戦するのはなにかと大変そうとあきらめている人も多いはず。でも、ここでは必要な道具や食材はすべて準備されており、燻煙に使うチップも富士桜やリンゴなど数種類から選ぶことができるのです。定番の木材のほかに、ウィスキーの熟成樽を解体したものまで。
食材は鹿肉のソーセージ、川魚、ドライフルーツなど、季節に応じて数種類あります。意外なのは調味料で、塩やみそも燻煙することで独特の風味が生まれるとか。できあがるのを待つあいだ、グランピングマスターとのおしゃべりを楽しみながら、グラスを傾けるのも至福のひとときです。
食材は鹿肉のソーセージ、川魚、ドライフルーツなど、季節に応じて数種類あります。意外なのは調味料で、塩やみそも燻煙することで独特の風味が生まれるとか。できあがるのを待つあいだ、グランピングマスターとのおしゃべりを楽しみながら、グラスを傾けるのも至福のひとときです。
空の下、野趣ゆたかなジビエをいただく
人間の都合で増えすぎてしまって「害獣」扱いされる動物たちには申し訳ない思いもするのですが、究極のアウトドア体験は、「ジビエ」をいただくことなのかもしれません。ここでの自慢の食材は、シカやイノシシなどの地元産のもの。年間にわたり、猟師さんたちによるていねいな処理によって、臭みがなく柔らかい肉が提供されています。
メインダイニングで優雅にワインとのマリアージュを楽しむもよし、屋外の「フォレストキッチン」でダッチオーブンを使って豪快に調理しながら食すもよし、客室のテラスでプライベート感たっぷりにいただくもよし。夕食だけでもバリエーション豊富です。
強くおすすめするのは、夕食・朝食・昼食いずれか1回だけでも屋外での食事を体験すること。空の下で食事する、ただそれだけでも、かなりインパクトのあるアウトドアライフ体験なのですから。
メインダイニングで優雅にワインとのマリアージュを楽しむもよし、屋外の「フォレストキッチン」でダッチオーブンを使って豪快に調理しながら食すもよし、客室のテラスでプライベート感たっぷりにいただくもよし。夕食だけでもバリエーション豊富です。
強くおすすめするのは、夕食・朝食・昼食いずれか1回だけでも屋外での食事を体験すること。空の下で食事する、ただそれだけでも、かなりインパクトのあるアウトドアライフ体験なのですから。
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