現在もアメリカを代表する思想家として高く評価されている、ソローの代表作。
ソローは、ハーバード大学を卒業後、小学校教師になるも、学校側から強要された体罰に反抗してドロップアウト。
森に自力で小屋を建て、人間関係を断って森のなかで2年2か月と2日を過ごす。
「森の生活」は、ソローが森に包まれ森と対話しながら感じたこと、得たことを、「人間の大一目的は何か」という根本命題に悩む若者にメッセージを送るという明確な目的でもって書かれたエッセイ。
ソローが生きた19世紀のアメリカは、鉄道•電気などの科学技術が人類史においてもかつてないスピードで次々に登場した時代。
進歩の熱狂のまっただ中にあった社会において、ソローが森での生活を選んだ感性は、今なお新しく、むしろ現代的であるとすら言える。
とりわけ、「明日の9針を省くために、今日は1000針も縫っている」と指摘する同時代人への考察は、まさしく、悪しきアクティビズム(積極行動主義)に人生を乗っ取られている私たちに向けられているようにすら思われる。ここに、21世紀人がまた、森へ出かける理由も了解されるのではないだろうか。
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